「親がその子のために与えることのできる最上の贈り物は、安心感と自己肯定感である。」岡田尊司著、幻冬舎発行、167ページ。
1990年代はじめまでにNZのほとんどの精神病院が閉鎖あるいは縮小し、以後は治療を要する人も、入院させて社会から隔離するのではなく、コミュニティ(地域社会)で生活するようになりました。「エンジェルアットマイテーブル」などで有名な女流作家ジャネットフレームも、その昔精神病院で長年過ごした一人です。ケアの補助不足や世話をする家族のレスパイト問題が相変わらず取り上げられる中、私が利用する近所の図書館に頻繁に足を運ぶ青年がいます。いつも大きなスポーツバッグをいくつもひっさげて、コンピュータの前でノートに何やら必死になって書き込んでいます。コンピュータが途中で時間切れになると、大きな声をあげて予約画面にダッシュし次の予約を入れます。その他にも大きな声を出すことがありますが、常連の私はもう慣れているので、目が会ってお互いニッコリすることもあります。彼は韓国からの移民です。親御さんはどんな思いで彼を連れてはるばるNZに渡って来たのでしょうか。いつも臆することなく一人で図書館に来てもくもくと勉強する彼。立派にコミュニティに溶け込んでいる風に見えますがどうでしょうか。
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