英国では別れる際に“Good Day(ごきげんよう)” がよく使われるようですが、気品に満ち過ぎて思わず舌を噛みそうになります。親しい間柄の人だとこちらではよく最初にGedday! と言います。とてもくだけた言い方で、男性が言うと「よう!」女性が言うと「どうしてる?」といった感じでしょうか。私にとっては、どんなに長く外国に住んでも使いこなせない、使っても戸惑いが隠せない言葉の一つです。関東人が関西弁を無理にしゃべると不自然なように、何か決定的なものが欠けているように思えるのです。日本人特有のはにかみがあるのかもしれません。 会社勤めをしていた時に、レセプショニストが辞めることになったので代わりの人が入社してきました。彼女は南アフリカからの移民で身だしなみも申し分なく、背筋もピンとして大変優雅な雰囲気をかもし出す女性でした。引継ぎもうまくいったようでじき一人立ち。 たまたま私が受付の傍を通った時に電話が鳴り、彼女が落ち着いて受話器を取り上げ開口一番、“Gedday !”
お客様に向かって「よう!」と挨拶したのでした。 慌ててそれは言ってくれるなと頼みましたが、もしかしたらGood Dayと勘違いしていたのかもしれません。忘れられないエピソードです。
|