英文契約書における秘密保持条項の重要性とは
英文契約書の秘密保持条項の目的と重要性
企業間が取引を行う際、円滑に業務を進めるため秘密情報を提供し合うことがありますが、そこで知り得た情報を第三者に漏らすことや契約上の目的以外で使用しないことを約束させるのが秘密保持条項です。
相手に対してどのような情報が秘密情報になるのかを事前に確認することで、意図しない形での情報漏えいを防ぐ役割も見込めます。
情報を受け取る側からすると、開示しても問題ないと認識していた情報が秘密情報に当たっていて後に損害賠償を請求されるといったケースを回避できます。
秘密保持条項は自社を守るために重要なものです。
英文契約書における秘密保持条項の項目
秘密情報の定義
秘密保持契約を結ぶ前に、そもそも「秘密」とは何を指すのかを明確に定義付ける必要があります。
秘密を明文化・定義しない限り、「秘密の漏えい」を定義できないためです。
秘密の定義が不明確なまま契約を結んでしまうと、当事者間で秘密保持義務の違反が生じたかどうかについての紛争を引き起こす恐れがあります。
トラブルを未然に防ぐためにも、秘密情報とは何を指すのか明示しましょう。
秘密情報の例外
開示の当事者から開示された情報であっても、既に公開されている情報や情報の受領当事者が独自に入手・開発した情報は「保護すべき秘密情報」から除外されます。
周知の情報を秘密情報として取り扱わないように、秘密情報の範囲を明確化する項目です。
義務の内容
秘密保持の内容は複数に分かれており、「秘密の厳格な保管」、「第三者開示の禁止」、「目的外使用の禁止」の3つが一般的。こうした義務の明記は、相手方が自社の情報を取引とは関係ない場面で利用するのを防ぐために必要となります。
損害賠償の制限
情報漏えいによる損害の範囲は思っている以上に大きくなることが多く、損害の影響範囲によっては会社の存続が危ぶまれるほどです。
会社規模が異なる場合、小さな企業側の支払い能力が足りずに損害を賠償しきれないケースもあるでしょう。
そのため、特に情報を受け取る側において制限条項を設けることは重要です。
秘密保持期間
秘密保持契約における秘密保持期間は、情報の性質と契約の目的によって柔軟に設定されます。
一般に、重要度が高い情報は長期間、あるいは無期限で保護されることがあります。
しかし、短期間で公開される情報については、1年などの短い期間が設定されることもあります。
契約当事者間で自由に期間を決定できるため、リスク管理や管理コストを考慮した合理的な期間設定が求められます。
また、長期間の保持には情報漏洩リスクや管理コストの問題が伴うことも念頭に置くべきです。
秘密保持条項と秘密保持契約との違いは?
秘密保持条項は売買基本契約書などの契約の一部として規定されるもので、秘密保持契約はその契約そのものを単独で締結するものです。
秘密保持条項はあくまでも「他の目的に付随したもの」のため、秘密保持契約より簡略化される傾向にあります。
秘密保持条項と秘密保持契約の両方を結ぶケースが発生した際には、後から作成された契約内容が優先されるため注意が必要です。
矛盾点がないか、後に書かれた内容が不利になる内容でないかを確認したうえで契約を締結しましょう。