DeepL翻訳で契約書の翻訳を行う場合のリスクとは?
DeepLで契約書を翻訳する際の注意点
精度が高いとされるDeepL翻訳ですが、その理由として「人工ニューラルネットワーク」を採用したニューラル機械翻訳(NMT)であることが挙げられます。
ニューラル機械翻訳とは、大量の情報を収集しつつ自ら学習する人工的なニューラルネットワークが、単語の連なりから正しい可能性の高い訳語を当てはめていくという仕組みです。文全体をひと固まりで捉えて翻訳するため、従来の機械翻訳よりも自然な文章になります。
このニューラル機械翻訳の情報源として、利用者が入力した文章が活用されています。
DeepL翻訳(無料版)のプライバシーポリシーには、「利用者が入力したテキストとその翻訳は、翻訳アルゴリズムの強化や性能の向上のため一定期間保存されます」という旨の記載があります。保存して性能向上に役立てるということは、つまり利用者が入力したテキストや翻訳を流用する、ということにほかなりません。
趣味で書いたテキスト程度であれば、システムに流用されても大きな問題はないでしょう。しかし、企業と企業の大切な契約書が流用されることは非常に大きな問題です。
流用された内容が悪用される可能性は低いと思われますが、ゼロとは言えません。相手方企業からの信頼も低下し、以後の取引に悪影響が生じる可能性もあるでしょう。
それに加えて、DeepL翻訳(無料版)には翻訳する文字数や量に上限が設定されていたり、文章全体の翻訳が月に3本までだったりといったさまざまな制約があります。
英文契約書の記載事項は非常に多いので、翻訳量に制限があるようではスムーズに仕事を進めることができないでしょう。
もし英文契約書の翻訳にDeepL翻訳を利用するならば、安全性の意味でも作業効率化の意味でも無料版ではなく有料版を申し込む方が良いでしょう。
契約書翻訳でも活用できる「DeepL Pro」の特徴
DeepL無料版は契約書の翻訳に不向きですが、有料版のDeepL Proであれば、契約書の翻訳に役立てることができるでしょう。
「DeepL Pro」の3つの特徴をご紹介します。
「DeepL Pro」とは
「DeepL Pro」とは、無料版のDeepLの機能を大幅にアップさせた翻訳ツール。
「STARTER」「ADVANCED」「ULTIMATE」の3プランがあり、ユーザー1名あたりの月額料金は、それぞれ750円、2,500円、5,000円に設定されています。
それぞれのプランの主な違いを表にまとめてみました。
STARTER | ADVANCED | ULTIMATE | |
---|---|---|---|
1名が1か月でアップロードできるファイル数 | 5ファイル | 20ファイル | 100ファイル |
アップロード可能なファイルサイズ | 10MBまで | 20MBまで | 20MBまで |
用語集の数 | 1個 | 2,000個 | 2,000個 |
用語集の用語ペア数 | 5,000ペア | 5,000ペア | 5,000ペア |
CATツールへの組み込み | × | ○ | ○ |
いずれのプランも翻訳テキストの文字数・量に上限はなく、また翻訳文が流用されることはありません(入力テキストや翻訳文は削除されます)。
翻訳支援ツールに組み込める
有料の3プランのうち「ADVANCED」と「ULTIMATE」には、他の翻訳支援ツール(CATツール)に組み込める機能が搭載されています。
他の翻訳支援ツールが持つさまざまな機能と連携させれば、よりスムーズでストレスの少ない翻訳ができるようになるでしょう。参考までに、組み込みが可能な主な翻訳支援ツールは次の通りです。
- Trades Studio 2017以降
- memoQ 8.5以降
- Déjà Vu X3
- Wordiest Classic、Wordiest Anywhere、Wordiest Pro 5.1以降
- Across Translator Edition、Across Language Server
- Resource
- TransieNT
- Dolling
- Alchemy CATALYST
DeepLの特徴や便利な機能とは
単にコピーされたテキストを翻訳するだけでなく、他のさまざまな便利機能を搭載していることもDeepLの魅力です。
一例として、PDFなどのファイルをアップロードしてそのまま翻訳できる機能や音声入力を利用したリアルタイム翻訳機能があります。
AndroidやiOSのアプリもあるので、持ち歩き可能な翻訳マシンとしても活用できます。
「DeepL Pro」が気になる方は、まず無料版で差し障りのない文章を翻訳し、そのクオリティや機能性を体感してみた上で有料版を検討してみてはいかがでしょうか。
AIに頼り切るのはまだ不安。ネイティブな人間による契約書翻訳をするなら
DeepLの特徴や機能についてご紹介しました。AIによる翻訳としては、とてもクオリティの高い優れた翻訳サービスと言って良いのではないでしょうか。
ただし、いかに翻訳精度の高いDeepLとは言え、企業と企業の真剣勝負でもある英文契約書の作成に際し、DeepLのみに100%頼り切るには不安が残ります。あくまでもDeepLは「優秀な支援ツール」と位置づけて、細部のチェックや最終的な微調整は人の手で行うべきでしょう。
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