英文契約書の署名欄(サイン・名前・日付・住所)の書き方
英文契約書に設けられている署名欄とその項目とは
基本的な英文契約書の構造は、「Title(表題)」「Whereas clause etc.(前文文)」「Definitions(定義条項)」「Operative part(本体条項)」「General Provisions(一般条項)」「契約書末尾文言」「Signature(署名)」「Exhibits(添付書類)」で成っており、署名欄には以下の欄が設けられています。
- By(署名)
- Name(名前)
- Title(役職)
- Date(日付)
- Place(場所)
似たような欄があったりして混乱するうえ、それぞれの記入方法についても英文契約書固有の書き方があるため、契約ミスやトラブルを回避するためにも正しいルールを知っておきましょう。
ここでは、特に注意すべき「署名(サイン)」「日付」「住所」について詳しく解説していきます。
英文契約書の署名(By)と名前(Name)の違いと書き方
まず署名と名前の欄の違いですが、署名(By)には手書きでサインを記入し、名前(Name)には氏名を入力します。
署名のByは「Signature」「Signed by」という項目名になっていることもありますが、いずれもサインする欄であることに変わりはありません。
署名(サイン)は本人証明のための欄ですので、英語(ローマ字)と日本語、どちらで記入することも可能です。ただし、契約の相手方が日本語を解さない場合は何が書かれているのか解読できず不安を与えてしまうことになるので、ローマ字で記入するのがベターです。
ローマ字の綴りについては、たとえば「shi」と「si」、どちらを用いても問題はありません。普段ご自身が書き慣れている綴りでOKです。
サインは万年筆やボールペンを使って記入し、当然ながら鉛筆など消えてしまう可能性のある筆記用具は避けるようにしてください。
これは英文契約書に限りませんが、昨今多用されている「擦ると消えるボールペン」も勿論使用は厳禁です。
字が下手だからサインが苦手という方も多くいらっしゃいますが、署名のサインはフルネームが一般的ではあるものの、一部を略したニックネームで記載しても問題ありません。あくまで本人であることを証明するための署名ですから、必要以上に美しく書こうとする必要も無く、ラフな筆跡でも通用します。
署名は和文契約書でいう契印や割り印と同じく、正当性の証明や改ざんの防止という役目を果たします。そのため、抜き取りや差し替えを防ぐために契約書の署名欄があるページ以外のすべてのページにサインをすることもあり、この場合はイニシャルサイン(下の名前と姓、それぞれの頭文字のみを記載)を用いることが多いようです。
Name欄の氏名は手書きでなくともOKですので、パソコン入力やゴム印を捺印する形でも問題ありません。
手書きの場合、Byの署名欄を筆記体、Name欄はブロック体で書くことが多いようです。
記述はローマ字で、下の名前→姓(苗字)の順に記載します。
「Print Name/Printed Name/Please Print(一文字ずつはっきりと)」といった注釈がある場合は筆記体を使わず一文字ずつ明確に記入を。手書きでなくパソコン入力の方がよいといえます。
「Block Capitals(大文字で)」と注釈がある場合は、すべての綴りを大文字で記載してください。
英文契約書の日付(Date)の書き方
署名欄にある日付(Date)には署名した年・月・日を記載します。
この日付の記載方法はアメリカとイギリスで異なっているので注意が必要。具体的には以下のとおりです。
・アメリカの場合…月(month)/日(date)/年(year)
・イギリスの場合…日(date)※何番目のという意味のthを末尾につける場合あり(つけなくても問題はない)/月(month)/年(year)
※間の「/(スラッシュ)」は「,(カンマ)」でも可
記述については、個人的な書類の署名であれば数字だけで綴ってもよいのですが、英文契約書の場合は数字のみで記載するのは避けるべき。上記のようにアメリカとイギリスでは書式が異なるため、たとえば「1/2/2022」だとアメリカでは2022年2月1日、イギリスでは2022年1月2日と異なる日付だと捉えられてしまい、契約期限の決算日を示す日付がずれて解釈されてしまうリスクがあるのです。
無用なトラブルを避けるためにも、「February」あるいは「Feb.」というように、月(month)は英語で記載するようにしましょう(略語でも可)。
取引先がアメリカであれば月を先に、イギリスであれば日にちを先に。もちろん、混乱を避けるために同じ契約書内の記述はすべて同じ形式で統一してください。
英文契約書の住所(Place)の書き方
契約書によっては住所(Place)の記入欄が設けられているケースもあります。
住所欄には署名した場所を、都市名→国名の順で記載しましょう。
東京で署名した場合は「Tokyo,Japan」となります。
最期に、上記全てを記載した場合の例文をご提示しておきますのでご参照ください。
<2022年2月22日、大阪で佐藤花子社長が契約を結んだ場合の署名例>
By:Hanako Sato (手書きのサイン)
Name:Hanako Sato
Title:President
Date:Feb./22/2022
Place:Osaka, Japan