共同研究開発契約書を英語・英文に翻訳する時の注意点を解説
共同研究開発契約書とは?
共同研究開発契約とは
共同研究開発契約書とは、企業や大学などの複数の当事者が特定の目的を達成させるため、それぞれの得意分野を活かしつつ共同で研究開発を行う旨を定めた契約書のこと。共同研究における費用負担や役割分担、成果の帰属や取り扱いなどについて具体的な取り決めを行います。
共同研究開発の目的
共同研究開発を行う目的は主に3つあります。
1つ目が研究開発の迅速化。自社にない得意分野を持つ企業や大学と協力することで、商品開発等のスピードを上げることが共同研究開発の主要な目的となります。
2つ目がコスト削減。研究開発が失敗に終わった場合、プロセスに要したコストを複数の企業等で分担することが可能になります。
3つ目が自社の知名度向上。特に創業間もないスタートアップ企業が有名な大手企業と共同研究開発を行えば、プレスリリース等を通じて効率的に自社の知名度を上げることができます。
共同研究開発契約書の印紙税
日本の印紙税法には印紙税の対象となる契約書の種類が規定されていますが、この中に共同研究開発契約書は含まれていません。そのため、原則として印紙税が課されることはありません。
ただし、たとえ「共同研究開発契約書」という名称の契約書であっても、その内容が通常の業務請負契約とみなされる場合には、「請負に関する契約書」(第2号文書)として印紙税の課税対象となります。
英語翻訳でも必須!共同研究開発契約書の条項
共同研究開発の対象
共同研究開発の具体的な内容や範囲を条項で明確化します。また、共同研究開発で各企業(各研究機関)が担う役割、責任などについても明確にしておく必要があります。あわせて、研究開発の工程やスケジュールについても、事前に取り決めておくほうが良いでしょう。
これらの情報を契約書の中に記載する場合もありますが、契約書とは異なる別紙に詳細をまとめる場合もあります。
費用負担の割合
一般に共同研究開発には膨大な費用がかかります。当事者同士に不均衡が生じないよう、契約書で明確に費用の負担割合を定めておく必要があるでしょう。後に疑義が生じて共同研究が頓挫しないよう、双方でしっかりと協議した上で費用負担の割合を明瞭にしておきます。
また、共同研究開発を進める中で、当初は予定していなかった費用が発生した場合の負担割合についても、事前に明確に定めておく必要があるでしょう。
成果の帰属(知的財産権など)
共同研究開発は複数の当事者が独自で持つ技術やノウハウを提供し合って進められるため、研究の成果物に対する知的財産権は、特定の当事者に帰属するのではなく全当事者間の「共有」とされることが一般的です。
ただし、成果物に対する寄与度や費用負担割合に不均衡がある場合には、適切な割合に応じて知的財産権の帰属を検討することもできます。
なお、知的財産権に関して当事者に契約違反があった場合に備え、契約書では仲裁に関する規定も具体的に定めておくようにします。
期間
共同研究開発契約においては、共同研究開発の期間を明確に定めておくことが非常に大切です。なぜならば、もし期間を定めていない場合、一方の当事者が独自研究で取得した成果に対し、他方の当事者が「共同研究による成果の一環だ」と主張してくるリスクがあるからです。
他にも予算組等の実務的な問題もあるため、通常は契約期間を明確にした上で共同研究を進めます。契約を自動更新させる取り決めなども入れないことが一般的です。
補償
共同研究によって取得した成果物については、共同研究を行った各当事者が利用できるよう相互にライセンスを付与することが一般的ですが、このライセンスによって正当に成果物を利用したにも関わらず第三者から知的財産権の侵害を主張された場合、その補償について誰が責任を負うのかを明確にしておく必要があります。
成果物を利用した当事者が補償するという取り決めや、利用した当事者は免責されるという取り決めなど、双方で協議の上、契約書で明確にしておきます。
守秘義務・秘密保持
共同研究開発を行うプロセスで、一方の当事者が持つ技術やノウハウなどの秘密情報を他方の当事者が知った場合、他方の当事者はこの秘密情報を外部に漏えいすべきではありません。
当事者が持つお互いの秘密情報を外部に漏えいしてはならないという取り決めのことを秘密保持義務と言い、秘密保持義務に関する具体的な内容を定めた書類を秘密保持契約書と言います。一般に秘密保持契約書は、共同研究開発契約書とは別途で、詳細な内容を取り決めた上で締結されます。
研究成果の発表(公表)と利用
共同研究の成果についてプレスリリース等を行った場合、特許出願時における「新規性」が薄れてしまう恐れがあるので、成果の発表(公表)については、契約書において方法や時期などの一定の条件を定めておいたほうが良いでしょう。
また共同研究の成果の利用に関する条件についても、各当事者間で具体的に取り決めておく必要があるでしょう。なお、共同研究における寄与度が当事者間で異なる場合には、寄与度の高いほうの当事者が容易に利用できるよう定めておくこともあります。
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