英語で作成された契約書のリーガルチェックは何を見るの?
英文契約書のリーガルチェックとは
リーガルチェックとは、契約者間のトラブルを防ぐために、事前に契約書の内容を法的な視点で検証・チェックをすることです。
リーガルチェックには以下のようなメリットがあります。
- 契約が無効になることを防げる
- 自社に不利な条項や抜け漏れについて、事前に指摘してもらえる
- リスクやトラブルを事前に回避できる
- 契約内容を明確化できる
リーガルチェックは何をチェックするのか?
リーガルチェックでは下記のようなポイントをチェックします。
- 契約書に入れるべき基本事項が入っているか
- 自社の目的や取引の実態に即した内容になっているか
- 曖昧な表現はないか
- 法律に照らして妥当であるか
- 予期しない隠れたリスクがないか
- 自社にとって不利な条項や抜け漏れがないか
リーガルチェックの対象となる契約書の種類
リーガルチェックの対象となる契約書は多岐に渡ります。
- 商品売買契約書
- 販売店契約
- 販売代理店契約
- ライセンス契約
- 合弁事業契約
- 共同研究開発契約
- 秘密保持契約
- 業務委託契約書
- 雇用契約書 など
リーガルチェックの流れ
一般的なリーガルチェックの流れは下記の通りです。
- 英文契約書のドラフトを作成
- 英文契約書の内容チェック(審査)
- 英文契約書のドラフトを法的観点からレビュー
- 問題点・法的リスクを洗い出し、修正すべき点をチェック(審査)
- 修正
- ドラフトの内容・問題点・リスクなど確認し、修正すべき点を検討
- 完成
- 英文契約書ドラフトの修正作業を実施して完成
英語の契約書にリーガルチェックが必要な理由
英文契約書のリーガルチェックが必要な最大の理由は、契約後にトラブルが起こるリスクを除外・軽減すること。
そのため、リーガルチェックは日本の法体系(大陸法)とアメリカ・イギリスなどの法体系(英米法)の違いについて理解した上で行う必要があります。
大陸法と英米法の違い
大陸法と英米法はベースとなる法体系が異なるため、考え方が根本から違います。
大陸法
議会や政府が作る制定法が第一次的法源とされる「制定法主義」。ドイツやフランス、日本等で採用されています。
特徴として、万が一契約書に書き漏れがあったとしても、法律によってある程度公平な紛争解決基準が示されます。「紛争が発生した場合は、当事者間で協議する」という協議条項が入っていることが多いですが、この「協議」という条項は海外企業との間では通用しません。
英米法
判例が第一次的法源とされる「判例法主義」。アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、インド等が採用しています。
特徴として、制定法による紛争解決基準の補充はほとんどありません。そのため英米法では、あらかじめその取引で想定される紛争についての解決基準をすべて契約書に記載します。逆に言えば、もし紛争が発生しても「契約書に記載されていないことは裁判の証拠として採用されない」というのが基本です。
英文契約書には日本の契約書に無い概念や項目(条項)が含まれている可能性が高く、日本で使用している契約書の雛形をそのまま英語にして使うのは大変危険です。
考え得るリスクを回避するためにも、リーガルチェックは必ず行うのが肝要です。
英文契約書のリーガルチェックで見るべきポイント
英文契約書のリーガルチェックでは、以下のようなポイントをチェックします。
準拠法
リーガルチェックは、基本的には英米法とその判例に基づいて行うことが必要です。
英文契約書では「一般条項」という項目が必ず置かれます。
これは英文契約書の大半を占めており、英米法とその判例を知らずにリーガルチェックを行うと、実際の裁判では効力を発揮しない英文契約書になってしまいます。
用語の誤り
基本的なことですが、用語の誤りはしっかりチェックを行います。
特に注意が必要な用語は下記の通り。
- 当事者の住所
- 氏名
- 各種日付
- 金額
- 目的物の量 など
英語特有の表現や、契約書の独特な言い回し、用語などに注意が必要です。
署名
一般的に契約書では、調印者に「調印の権限」が無ければ契約書の効力は生じません。
国内では、表見法理に基づく法律によって対外的に調印権限があると認められるものが調印すれば契約書は有効に成立しますが、外国企業の場合これは通用せず、調印者が「調印の権限」を持っているか必ず確かめる必要があります。
調印の権限者は、相手企業の取締役会からの「権限の付与を証明する文書」等により確認できます。
効力発生日
「契約の効力発生日は適切か」という点をチェックします。
英米法上の英文契約書の効力は契約書の引き渡し時に発生します。つまり、調印してお互いがその英文契約書を所持した時点で効力が生じるということになります。
例えば契約書を郵送して調印する場合、一方だけが契約書を所持している段階ではまだ契約書の効力は生じてないと判断される可能性があるのです。そのため、契約書冒頭の日付は後に調印する者の記載日に合わせるというのが一般的です。
具体的な取引条件
取引条件をチェックする際は、具体的な取引の過程を洗い出しながらチェックしていきます。
例えば売買取引の場合は、以下のように具体的な項目を想定してチェックします。
- 目的物
- 数量
- 品質
- 引渡方法
- 引渡場所
- 時期
- 金銭(額、支払方法、通貨、時期)
なるべく具体的に取引条件を書き出し、項目ごとに確認していくことでチェック漏れを防げます。
実行可能性
契約書で取り決めた各条項の義務的事項が実際に実行可能かどうかを確認します。
売買取引での目的物の到着日や支払方法の規定など、英文契約書に定められている内容の設定に無理が無いか、事前に確認することでトラブルを防げます。
紛争時の損失回避
紛争が生じた場合、不当な損失を被らないための解決手段として「損害賠償による金銭的な回復を規定するのか」もしくは「履行の強制や仮差止め等を記載するのか」をリーガルチェックします。
ここでも英米法とその判例に基づいてリーガルチェックを行う必要があります。
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