英文契約書に収入印紙や消印は必要?
英文契約書と収入印紙
収入印紙とは、印紙税法で定められた課税文書(課税対象にあたる書面) に貼付する証票。これを用いることで税金を支払ったという証になります。
課税文書に購入した収入印紙を貼付し、収入印紙の使い回しを防ぐために消印を押印します。この消印が無いと使い回しの可能性が排除できないため、納税した証拠にはならないので注意が必要です。
課税文書にはいくつかの種類があり、不動産売買契約書や金銭借用証書を指す「第1号文書」、請負契約書を指す「第2号文書」、合併契約書や吸収分割契約書、新設分割契約書などを指す「第5号文書」、代理店契約書や業務委託契約書などを指す「第7号文書」の4種類に分けられます。
このような課税文書については、海外取引先とも契約を交わすことがあり、その場合は英文契約書を取り交わすことになりますが、その場合に収入印紙や消印は必要なのでしょうか?
結論から言えば、英文契約書において印紙や消印は必須ではありません。印紙税というのは日本国内の法規なので、海外で作成される契約書には適法とはならないのです。
例えば不動産売買契約書の場合、契約対象となる物件が日本国内のものであっても、契約を取り交わす当事者が海外で英文契約書に署名した場合は印紙税が課されません。
ここで重要になるのが、「どこで作成された契約書なのか」「いつ作成されたのか」という点。国税庁の「外国で作成される契約書」への回答要旨には以下のように書かれています。
「契約書の作成」とは物理的に書面を制作することを指すのではなく、契約書が効力を発揮する状態として完成すること、つまり契約の締結時点を指します。
「契約書を作成した場所」とは、契約書に署名をした場所を指すのです。
上記の場合、文書作成自体は日本で行われているものの、契約が締結されたとみなされるのは相手方が署名をしたアメリカとなり、海外で作成された契約書であるという扱いになるため、印紙税は課税されません。
契約書の作成→署名の時系列を明確にするため、「いつ作成されたのか」つまり署名した日も重要となります。
国税庁が回答要旨に添えているように、例え実際に署名をしたのが海外であったとしても、それを示す証拠となるものがないと、課税文書でありながら収入印紙や消印がない契約書はトラブルのもととなります。
「契約書上に作成場所を明記しておく」「契約書とは別途で覚書などを作成し、いつ・どこで作成されたのかを明記しておく」「相手方に送付した日付と相手方が署名した日付を明確化しておく(つまり、契約書には署名した日付を記載し、相手方に送付した日付の証となる郵便消印がされた送付封筒や返送されてきた際の封筒、やり取りのメールなどを保管しておく)」といったように、その契約書が海外で作成されたものであることを証明できるようにしておきましょう。
また、回答要旨の下部に掛かれているとおり、海外で契約書を作り、署名は日本国内で行った場合は、双方の契約書が課税文書とみなされ印紙税が課されるため、収入印紙と消印が必要となります。
消印について、相手方が印鑑を有していないことがあるかと思いますが、その場合は収入印紙と契約書本体にまたがる形でサインをすれば、消印と同等とみなされます。