株式譲渡契約書を翻訳するための英語・英文とは?
株式譲渡契約書とは?
株式譲渡契約とは、M&Aの一手法として相手企業の株主から株式を買い取るための契約です。
英語では「Stock Purchase Agreement (SPA)」や「Share Transfer Agreement」などと言います。
株式の買主は、おもに相手企業の経営権、または経営権の一部を手に入れるために株式譲渡契約を実行するのが一般的。株式譲渡契約は経営権を獲得する以外に、買主にも売主にもさまざまなメリットがあります。 たとえば買主のメリットとして、相手企業そのものを買うという煩雑な手続きを省いて、株式のみの買い取りで相手企業の経営権を取得できるという点が挙げられます。
売主のメリットとしては、株式の対価として現金を手にできる点。
手に入れた現金を資金繰りや他事業の立ち上げ、資源集中などにすぐに使えるため、早く現金が必要な際は有益といえるでしょう。
日本の大企業同士が株式譲渡すると話題になりますが、よりスケールの小さい株式譲渡や、日本企業と外国企業との間での株式譲渡も頻繁に行われています。
英語翻訳でも必要な株式譲渡契約書の条項
日本企業と外国企業の間で行われる株式譲渡契約について、契約書の内容に盛り込まれる主な条項を確認してみましょう。
株式譲渡の基本合意
まずは株式譲渡契約の骨格部分(基本合意)を決め、契約書に記載します。
当事者の会社名・譲渡対象の株式の種類(普通株式・優先株式等)・譲渡対象の株式数・契約の効力が発生する日などがそれにあたります。
譲渡対価
株式の売主に対して支払われる譲渡対価の金額を明示します。あわせて、株式譲渡契約の締結からクロージングまでの間における支払のタイミングについても規定しましょう。
実務上は、クロージング直後に譲渡対価を支払うことが一般的。英語の例文を見てみましょう。
In full consideration for the Shares, Purchaser shall pay to Seller JPY 158,000,000 in Japanese Yen promptly after the Closing.
(株式の全対価として、買主は売主に対し、クロージング後すぐに日本円で1億5800万円を支払う。)
譲渡実行日(クロージング)
譲渡する具体的な日付(クロージングの日付)を確定させ、契約書に明記します。
実際のクロージングにおいては、売主と買主が同じ場所に集まり、クロージング条件が整ったことの確認、書類の引渡し、譲渡代金の決済などが行われます。一例として、英文契約書におけるクロージング部分は以下のようになります。
Subject to the terms and conditions of this Agreement, the purchase and sale of the Shares shall take place at a closing to be held at the offices of the Company, at 10:00 A.M., on the date of June 30, 2022.
(本契約の条件に基づき、2022年6月30日午前10時、対象企業の事務所にて本件株式の売買をクロージングで実行する。)
保証表明
保証表明とは、株式譲渡契約の時点で売主企業が表明した内容が真実であることを売主企業に表明させる条項のこと。表明保証条項とも呼ばれ、事後に表明とは異なる事実が判明した際の損害賠償についても明記します。
株式譲渡に関しては、実際に譲渡契約を結ぶ前に、買主が売主企業に対してDD(デューデリジェンス)を実行します。
ただし、いかに徹底したDDを行おうとも、譲渡実行後に簿外債務や法的問題が顕在化するリスクをゼロにはできません。譲渡実行後に想定外の問題が買主に生じた場合に備え、株式譲渡契約書に保証表明が明記されます。
雇用契約及びエージェント契約
株式譲渡が実行される以前に売主が交わしていた従業員との雇用契約、またはエージェントやコンサルタント等との各種契約などについて、買主がその一切を引き継ぐ旨を定めた条項です。
なお、それらを引き継いだ後については、法令等の範囲内において買主の判断で従業員の契約解除等を行うことができる、と規定するのが一般的です。
競業避止義務
株式譲渡契約における競業避止義務とは、株式譲渡が実行された後に売主が同じ事業を行わないことを規定した条項です。
もし株式譲渡後に売主が同じ事業を開始すれば、買主の事業と競業してしまい、買主が想定していたビジネスチャンスが狭まる可能性があります。
そのようなリスクを避けるため、株式譲渡契約書には、売主は同じ事業を行わないとする競業避止義務規定が明記されるのです。
なお、売主が競業避止義務を負わないようにするためには、株式譲渡契約書の中に、競業避止義務がないことを明記しておかなければなりません。
準拠法
準拠法とは、特定の契約に関する権利・義務について適用される法律のこと。
国際間での契約においては、契約上の問題が生じた際にどの国の法律に基づいた解釈が適用されるかを定めます。国際間の株式譲渡における譲渡方法については、売主となる企業の設立準拠法(設立時に準拠した法律)に基づきます。
日本企業が外国企業から株式譲渡を受ける場合には、売主の定款を確認のうえ設立準拠法を確認することが重要です。
株式譲渡契約書の英語翻訳を依頼するなら
英文による株式譲渡契約書の主な条項についてご紹介しました。 株式譲渡契約とは、売主の経営権の全部または一部を手に入れるための契約です。
影響範囲が広いことから、事前に買主と売主が合意しておく条項が多岐に渡ります。そのため、英文による株式譲渡契約書の翻訳も難度が高い部類とされています。
相手方との合意を正しく反映させた契約書を作成するためには、難度の高い契約書翻訳にも対応できる翻訳会社に依頼したほうが良いでしょう。
株式会社ケースクエアでは、これまで多くの英文株式譲渡契約書の翻訳を手がけてきました。
翻訳を担当するのはネイティブの翻訳者なので、いわゆるネイティブチェックは不要。日本語能力検定試験上級資格も保持している翻訳者なので、日本語のニュアンスを正確に汲み取って英語へ翻訳が可能です。
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